北野武監督による『アウトレイジ1』は2010年に製作されたヤクザをテーマにした映画。登場人物が全員、裏で何かを考えているのが分からないサスペンス性や、暴力や言動の凄惨さが見どころです。騙し合いと裏切り、シーンが変わると展開が大きく変化するストーリーに引き込まれるでしょう。それでは『アウトレイジ』のあらすじとラスト結末に感想やレビューを交えて紹介します。
【ネタバレ】「アウトレイジ1」のあらすじやラスト結末
山王会の抗争の始まり
暴力団の山王会は関内が会長を務め、加藤が彼を補佐していた。池元組、大友組などが参加におり、関係は良好だったがある事件をキッカケにその関係が崩れていく…
岡崎はバーで酒や女性を楽しんだ後、60万という支払額に驚いた。
村瀬組の飯塚は金を支払わせるために脅しをかけると、岡崎は事務所に来れば支払えると言うので飯塚は付いていく。すると事務所とは大友組であり若頭の水野は岡崎の分の金を渡そうとすると飯塚は怯えて断った。それでも無理やり渡された飯塚は村瀬組に戻ると若頭の木村に指を詰めさせられて改めて謝罪に赴く。大友組は村瀬が来るのが筋だろうと難癖をつけて木村にも指を詰めるよう煽り、木村はカッターで指を落として憤るのだが顔まで傷つけられてしまった。
飯塚はその後もクラブに我が物顔で訪れたことから木村と飯塚は彼を拉致して拷問の末に殺す。関内会長は事の顛末を聞いて大友にケジメをつけるよう指示し、遠方に逃げようとしていた飯塚は殺された。
村瀬と兄弟分の池元は関内会長から甘いと言われたため、池元は大友に村瀬を痛めつけるよう指示。大友は歯科医院で村瀬を喋れなくするほどのケガを負わせて引退に追い込み、彼がさばいていたシャブなどの金は池元に流れるようになった。
カジノの経営
水野はシャブの売買をしているグバナン大使に新たなビジネスを提案する。大使館は治外法権で守られているため、より広い場所に移ってカジノの経営をすべきだ…リスクの大きさから断った大使だが、グバナン独立記念パーティーにて彼が女性とホテルの部屋で一夜過ごすとそこには水野がいた。
彼は血の付いた女性の写真を持っており、気が動転した大使に殺しをしたと思い込ませて脅してカジノの件を承諾させたのだ。カジノの経営が始まってしばらくすると大使は報酬が20%では少ないと直談判し、50%はもらわないと警察にこの件を訴えると言う。しかし、大使はヘビが放たれたバスルームに閉じ込められ、再び脅しに屈することになる。
一方、池元は大友に村瀬を始末するよう命じ、大友はサウナにいた彼と手下たちを射殺。それを理由に大友を破門したため、納得できなかった彼は関内会長に指を詰めて挨拶に行く。会長命令だと聞いていたが、池元が勝手に言ったことや彼の時代は終わったと聞いた大友はカジノへ…入り浸っていた池元を殺し、部下たちに埋めさせたのだった。
大友の覚悟(ラスト結末)
関内会長は池元組の若頭だった小沢に組を継ぐために大友を始末するよう指示し、会長の側近の加藤も加勢する。事務所の部下たちが射殺、狙われていた水野は遠方にいたが見つかって殺された。
大友は出掛け先で手りゅう弾による爆発に遭うが部屋を移っていたため無事。警察のマル暴担当の片岡を呼び出して、部の後輩だった彼に自ら手錠をかけられて刑務所へ…その後、刑務所内で村瀬組の木村に刺殺されたと片岡は山王会に伝えた。
関内会長の元に小沢が挨拶に来て、大友、池元、村瀬を一掃できたことを喜ぶ。その場で加藤に小沢を撃たせてすべては終わり…と思いきや、加藤はそのまま会長を撃ち殺したのだった。加藤は会長の座に着いて山王会の新たな始まりとなる。
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「アウトレイジ1」の感想
登場人物の思想や狙いにハラハラ
抗争は関内会長は村瀬のシャブの売買を気に入っていなかったことから始まりました。その際にちょうど良く、飯塚が岡崎に金を払わせようとしたのをキッカケに今回の抗争が広がっていき、登場人物どうしが罠に掛け合って泥沼化する展開は常に緊張感を感じさせます。
関内会長を筆頭に自らは手を汚さない池元や村瀬などの組のトップ陣…大友は指示されたことは忠実に従いますが、実際は面白くなかったでしょう。それでも親と子の上下関係が絶対的なヤクザ社会。そして大友が忠義に厚いことから、生きづらい状況でも決して逆らわずに村瀬殺しなどをこなしていく姿が印象的です。
誰が今回の件で甘い汁を吸うのか最後まで分からず、まさか若頭たちも含めみんな殺されるとは思いもよりませんでしたね。一連のストーリーと、どの人物も虎視眈々と上を目指している様は見どころがありました。
特に関内会長の側近である加藤が会長になったのには驚きです。会長に小ばかにされたり、時には頭を叩かれたりと良い目にあっていなかったからこそ、小沢が報告しに来た際に彼を撃ってすぐさま後ろにいた会長も別の銃で撃ったのでしょう。
銃を変えることで小沢が会長を殺したかのように見せるという作戦により、次期会長となる加藤…果たして今後の山王会はどうなっていくのかが楽しみです。
ヤクザのケジメの描写が凄い
ケジメをとる際には小指を切り落とすという描写を筆頭に無残なシーンが多いのもヤクザ社会の凄惨さを物語っていました。
木村が指を詰めろと脅された際には包丁などの道具ではなく、カッターしか用意されなかった最初のシーンから印象的…一回では切れないカッターを使って指を切り落とした木村が顔を大きく切りつけられて血まみれになり、その後の登場時には顔に包帯を巻いているという姿には恐ろしさをずっと物語っています。
銃での殺しも何回かありましたが、大友組の事務所を制圧する際にはマシンガンを使って盛大に壊したり、手りゅう弾による爆破も派手。大掛かりな破壊もいとわないヤクザの争いは恐ろしさも感じましたね。
個々が裏で何を企んでいるのかという騙し合いから、発する言葉や暴力までヤクザらしさと恐さを伝えた映画です。
「アウトレイジ1」のみんなのレビュー(面白い?つまらない?)
面白いというレビュー
アウトレイジ1はシリアスなギャグ多くて面白いですよね。
ビヨンドは暴力描写が多くて好きですけどw— ムロッチ (@muromuro1125) August 15, 2017
『アウトレイジ』
「芸術家三部作」を終え、遂に迷いから解放された北野武。淡々と殺戮を繰り返すヤクザ達の世界に「世界のキタノ」が帰って来た。
バイオレンスのプロットを設定してからストーリーを作ったと言う本作。“継ぎ接ぎの暴力”で構築された紛れもない最高傑作。#1日1本オススメ映画 pic.twitter.com/kwE5K1XGcx— レオナ (@ClockworkReona) October 5, 2017
大傑作映画『アウトレイジ』を久々に観たんですけども、やっぱり男たちの怒声と加速していく怒涛のバイオレンスが最高に景気良くて超楽しいですね。國村隼の顎に掌底を打ち込んで舌を噛み切らせる所とか特に大好きだぞバカヤロウ!! pic.twitter.com/4mSVFS5CRm
— タイラーの大乱 (@movie_watch4) April 24, 2019
アウトレイジを見たよ。何回見ても神映画だよ。
— BQボブ (@mnjkl15) September 26, 2015
つまらないというレビュー
アウトレイジ1見た。
アマゾンのレビューでは高評価だったけど、俺はあんまり面白いとは思わなかった。 名前いっぱい出てきてこいつ誰だっけみたいなのが2回ぐらいあった笑
でもアウトレイジビヨンドがレンタル始まったらすぐに借りるけどね。— tr (@YbZWRc5a9n3cdYL) September 29, 2012
今更見た、だけしのアウトレイジは超絶駄作だった。
— beginner1021 (@beginner1021) September 28, 2012
仁義なき戦いを今の時代やろうとすると、アウトレイジのような駄作になる。
— つよぞう (@tsuyozou1969) July 26, 2018
アウトレイジはつまらない映画ではないけど、面白い映画でもなかった。北野武監督自身は迷いからふっ切れたようだけど、原点回帰と呼べるほど初期衝動のようなものも感じなかった。結局監督として“今の時代”にとるべき何かを見出せないのかなぁー。と、
— とら (@hakatanotora) June 23, 2010
アウトレイジは、平凡で退屈だった。昔のつまらない劇画でも読んでるみたいだったよ。RT @takehirohiguchi: 石橋蓮司が歯科で血だらけになるシーン、まるごとカットされていたね。でもその省略された編集が、皮肉にも初期たけし作品になっているという。。#アウトレイジ
— いしかわじゅん (@ishikawajun) September 5, 2012
「アウトレイジ1」の登場人物(俳優名)
関内(北村総一朗)
山王会の会長。物腰柔らかな態度が多いが、裏では非情。
加藤(三浦友和)
関内会長の右腕として寡黙に務める。
池元(國村隼)
池元組の組長。村瀬とは兄弟分。
小沢(杉本哲太)
池元組の若頭。
大友(ビートたけし)
大友組の組長であり、池元や会長の命令に忠実。
水野(椎名桔平)
大友組の若頭。自ら行動を起こしていく性格。
石原(加瀬亮)
語学が得意なインテリヤクザ。謀略に長けていて闇カジノを調略により手に入れる。
岡崎(坂田聡)
大友組の組員。一見、ヤクザには見えないが、態度を豹変させることがある。
阿部(森永健司)
大友組の組員。武闘派ヤクザ。
村瀬(石橋蓮司)
村瀬組の組長。シャブなどをシノギにしている。
木村(中野英雄)
村瀬組の若頭。激しい一面を持つ。
飯塚(塚本高史)
村瀬組の組員。
片岡(小日向文世)
警察(マル暴)であり、大友を先輩と呼んでいる。
グバナン共和国在日大使(ハーシェル・ペッパース)
グバナン共和国在日大使。村瀬組と共に違法薬物の売買に手を染める。