1980年に製作された『影武者』は黒澤明監督による戦国時代をテーマにした映画です。戦国時代の武将・武田信玄の影武者と彼の周りで起きた出来事が語られるストーリーに引き込まれ、結末まで見入ってしまうことでしょう。各々の腹心などに注目しつつ、『影武者』のあらすじと結末に感想を交えて紹介します。
「影武者」のラストの結末やネタバレあらすじ
武田信玄と盗人
戦国時代真っただ中、武田信玄は影武者の一人としてとある盗人を紹介さた。その男は自身とうり二つであり、小銭を盗んだことで逆さ磔にされている所を発見されたそうだ。信玄の臣下は「そんな男に影武者が務まるのか」と考えたが、信玄は何かあった時のために盗人を隠し持つことにする。
天正元年、武田の城にて家臣たちに囲まれていた影武者は作戦の行方を聞く。朝倉の勢力との戦いや裏切など信玄を悩ますことは多いそうだ。53歳になる信玄は愚痴をこぼすが、家臣は「この時代において背腹離反や私利私欲で動くのは当たり前である」と諭す。
そんな折、野田城にて大きな事件が発生する。信玄が遠方から狙撃され、傷を負ってしまったのだ。その話は信玄と対立する徳川家康や織田信長の耳にも届き、彼らは信玄の無事を明確にするため忍びを送って調査させる。
信玄の死
撃たれた信玄は傷の治療をし、臣下に「自分がもし死んだとしても3年は周りに悟られないようにせよ」と命じる。もし、自身の死が気付かれてみだりに兵を動かせば武田家はほろぶと考えたためだ。
その後、信玄が籠で長距離の移動をした際に、彼は突然中から出て京が見えると言いつつも急逝。臣下は信玄の死を知る者を最小限に抑えるため、従者を切り捨てておくのだった。
その頃、家康は野田城で信玄を狙撃したという兵に詳細を聞く。兵の男は火縄銃を構えていた距離や手法を明確に説明し、狙撃後は探されなかったと報告。
そのことから家康は影武者と信玄の兼ね合いを考え、信玄は死んだのではないかと考えるのだった。信玄亡き後、盗人だった男は正式に影武者として務めることになり、臣下数人だけがその事実を知る。
影武者
信長は信玄の生死について調べさせていたが、日によって彼の生死の報告が変わるためいら立っていた。一方で徳川もまた信玄について探っていたが、本物かどうか見極めがつかずにいる。
そんな折、影武者は城で盗みを働いて逃げようと目論んでいた。
彼は城中で大事そうにされていた大甕(おおがめ)を壊して中を確認すると、中に信玄の遺体があったことに驚いて尻餅をついてしまう。家臣は武田の者でもない男に真実は教えていなかったのだ。そして、卑しい影武者の行動を見た臣下は彼に大役を任せるのはどうかと話し合い、男を解放することにした。
臣下は諦めて信玄の死を知らせる高札を出そうと考え、信玄の遺体を大甕に入れたまま諏訪の湖に埋葬。それを見た影武者は決意を固め、信玄の役に立ちたいと思って臣下に「俺を使って欲しい」と頭を下げた。そうして高札には湖の竜神に酒を捧げるために大甕を沈めたと知らせを出し、信長も家康もいったんは信じることにした。
戦いの終わり(ラスト結末)
季節は端午の節句となり、影武者は信玄の息子である幼い竹丸に会うことになる。子供ながらにも影武者が信玄では無いと指摘し、臣下を冷や冷やさせる。屋敷内を案内された影武者は自身の正体を知る者と話し合ったりして過ごした。
家康は信玄の生死を知るために彼の元に攻め入ることを決める。影武者は臣下の集まる元で作戦を決め、戦いを何とかやり過ごした。その後、幾度も正体が疑われそうになりながらも3年が経ち、正式に信玄の死が公表される。影武者は用済みとなって屋敷を追われ、武田家の最後の戦いが始まるのだった。
武田の騎馬隊が旗を掲げながら揃う一方で相手は無数の鉄砲隊を構えている。両者が動き出す様を草陰から見ていたのは影武者だった。鉄砲に敵わなかった騎馬隊は全滅し、影武者も戦場に出て討ち死にしてしまう。
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「影武者」の感想
盗人であり、下賤な身であると罵られた男が信玄の影武者となるストーリーは臣下とのやり取りも含めて見入ってしまいましたね。臣下と影武者が徐々に距離を縮めたり、影武者も信玄の生き様や出会いを通じてその責務を全うしたりとヒューマンドラマのような面白さがありました。そうしてラストでは用済みとなって逃がされた影武者が戦場に立つというシーンで締めくくられるため、一人の男の生き様を見届けた気分になります。
もちろん、その戦場のシーンも見どころの一つでしたね。無数の馬と武将が駆け回りその様子を遠くから映すシーン。そして夕日を背にして影だけ映すシーンもあってステキな映像作品に仕上がっていると思わされました。
また、最後の戦いでは武田の騎馬隊の軍勢が砂埃を上げながら多数で走るため圧巻です。「風林火山」のそれぞれの漢字を一文字掲げた旗は赤や緑などの色が付いているため、ひと目でどの部隊かがわかりました。
しかし、鉄砲隊は強く次々と馬や兵が倒れて行き、動いている者も血にまみれているため凄惨な光景が広がります。多くの馬も倒れる中で、必死に立ち上がろうと努める馬の姿にも凄惨な戦で生きようとしているのが伝わってくるため心を動かされました。
他にも武将たちが闘いの前に能を見るシーンでは5分以上にわたって撮影されていたのも印象的です。まるで舞台劇のような楽しみ方ができました。戦いやそうしたシーンを長く撮影しているのも今作の見どころと言えるでしょう。
「影武者」のみんなのレビュー(面白い?つまらない?)
面白いというレビュー
いま、黒澤明監督の『影武者』を20年ぶりくらいに再見した。
以前、見た時より、面白く見れた。いや、これ、面白いじゃん!
まあ、これが、勝新だったらなあという叶わぬ夢は忘れて見れば、面白いっすよ、これ!
約三時間、全く飽きさせないし。
感想はいずれかく。
— つぐちひろし (@UnstableState_) June 14, 2021
黒澤明の影武者久々に観た。面白いしスケールが凄いというのは黒澤明だから当然。でもやはり勝新太郎で観たかったという未練が残る作品。
— gorasu (@gorasu) January 24, 2021
黒澤明の「影武者」を見る。むかしはよくわからなかったけど、黒澤明は今はどれ見ても面白いね。面白いと言うか良い。
— どんとウォーリー (@dontoworry) May 23, 2020
黒澤映画を観よう⑯『影武者』鑑賞。死して後三年喪を秘したとされる信玄公の影武者となった男。レンタルDVDをTVのシアターモードで観たんですが色がいいなぁと。鮮やかな悪夢とか地獄の様で面白い。馬の迫力も凄いし初回はスクリーンで観たかったかも。
1つの時代の終わり、儚い結末にはぐっときた。 pic.twitter.com/V61lgQgtiC— suzupo (@suzupoppo) May 14, 2019
つまらないというレビュー
黒澤明監督の映画が大好き!
「七人の侍」「生きる」は、世界映画史上に燦然と輝く大傑作!
「赤ひげ」「用心棒」「隠し砦の三悪人」もめちゃくちゃ面白い!
ただし「影武者」は駄作。— 百田尚樹 (@hyakutanaoki) March 21, 2020
『影武者』は、勝新の方が多少は笑えるシーンはあったろうけれど、俳優やスタッフがどんなに頑張っても、黒澤の自己満足なつまらない作品であることには変わりなかったろう。
— くろまっく (@kuro_mac) November 24, 2020
黒澤映画では、「七人の侍」が面白いし、「生きる」がいいね。あとは三船が若いころの作品が好き。でも娯楽作品だけれど、思想性が足りないね。「乱」や「影武者」はつまらない。
— エリーとモコとココ (@lalasakura2008) April 20, 2019
黒澤明なんて、絵描きになれなかったものだから、宮崎駿がうらやましくて、バカにした事言ってるんだ。
だから、「影武者」や「夢」は、良く出来ているけど、つまらない映画だ。
あの二本の映画は、「絵が描きたかったのに描けないんダッ!」って叫んじゃってる。見ていてつらい。— れおポン (@Leopon_A) July 16, 2018
黒澤明作品はディスクで鑑賞出来るものは全て観ている。傑作と駄作の割合が2対8の監督だ。例えば『椿三十郎』や『天国と地獄』、あるいは『乱』や『影武者』は分かりやすい駄作。小津の方が圧倒的に高いレベルで安定してる。さてもう一人のクロサワ、黒沢清はというと多少贔屓目になるが全作品が傑作。
— 一郎 (@taconoff) February 13, 2021
「影武者」のロケ地(聖地)
伊賀上野城(三重県)
雲峰寺(山梨県)
小石川後楽園の小廬山
熊本城の石垣
『影武者』熊本城ロケ。ショーケン出演場面。熊本城内ではなく城外の石垣で撮影。この場面の次のカットは北海道での撮影場面。同じ場所で『乱』の夕景も撮影。ショーケンは左。右は清水紘治。
キャメラは3台くらいあったと思う。
ボクは黒澤明監督の横近く。キャメラの後ろで見学。高校時代のおもいで pic.twitter.com/Tskoe7FyB5— soun (@masaymo) April 9, 2021
「影武者」の登場人物(俳優名)
武田信玄(仲代達矢)
甲斐と信濃を治める戦国大名。
影武者(仲代達矢)
盗人であり、信玄の影武者となる男
武田信廉(山崎努)
信玄の弟で、武田二十四将の一人。
織田信長(隆大介)
信玄と対立する大名の一人。信玄を侮ることは無かった
徳川家康(油井昌由樹)
信玄と対立する大名の一人
諏訪勝頼(萩原健一)
信玄の息子
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