伊丹十三の初監督作品『お葬式』は葬式をテーマにした映画です。コメディ要素のあるヒューマンドラマであり、病院や棺で運ばれる様子、葬式や火葬の様子など葬式に関わる段取りも参考になりますよ。泣いて笑える展開が見どころですので、そうした『お葬式』のあらすじと結末に感想やロケ地を交えて紹介しましょう。
「お葬式」のラストの結末やネタバレあらすじ
急逝
東京で俳優を務める佗介には妻がいた。千鶴子もまた女優を務めていたがある日、父の真吉が急逝したことで葬式の準備をせねばならなくなる。
時はさかのぼり、真吉は妻の待つ伊豆の別荘を訪ねた。真吉は東京で定期健診を受け、異常は見つからなかったと伝える。その日、アボガドやウナギなどの高級品を食べた後、彼は苦しむように倒れて病院へ・・・医師の健闘も虚しく、亡くなってしまうのだった。
千鶴子は撮影所で父の知らせを聞き、マネージャーに棺桶の準備を進めさせる。佗介は通夜の手配を考えつつ、雨の降る中、車を走らせて伊豆へ向かう。伊豆に到着して霊安室に着くと、千鶴子の家族の血縁者が揃っていた。
真吉の遺体に手を合わせて、彼が亡くなる直前の話を聞く。医師や看護師が病室に多数集まり、真吉は一瞬だけ身体をのけぞらせたがそのまま亡くなったと聞くのだった。
準備
親族は病院で会計を済ませて死後の通知書などをもらい、棺桶に遺体を入れて運ぼうと話しを進める。布団に遺体を寝かす方が良いと言う親族もいたが、棺に入れるために遺体に足袋を履かせた。
真吉に着せられた木綿の衣服は、触れると身体が暖かいような感触を抱かされる親族。そうして棺にドライアイスを入れて大雨の中、親族は力を合わせて家に棺を運び入れる。
棺の前に勲章を付けた真吉の立派な写真を飾り、お坊さんを呼ぶ手はずを整えて就寝するのだった。
翌日、佗介は葬式の手順を学ぶ入門ビデオを見て、精進落としの挨拶は自分がやると考え憂鬱になる。そこに佗介の関係者である青木たちが葬式の手伝いにやって来た。青木はホームビデオ用に葬式の準備を進める家族たちをカメラに収めていく。
葬式
通夜となり真吉は手広く会社を経営していたと参加者は話す。「会社に金を回して身内に相続金を残さない」と悪態を付く親族もいた。一方で、真吉のゲートボール仲間は口々に彼を褒める。
親族や真吉の友人たちが酒を飲み交わして長居する中、ようやく皆が帰っていく。千鶴子は残った者とお酒を飲みつつ愚痴を聞き、最後に真吉の顔を拝んで昔話に花を咲かすのだった。その頃、佗介は葬式の挨拶について、余念なくビデオを見続ける。
葬式の当日を迎え坊さんが読経している中で、外は強風に見舞われて慌ただしくあった。真吉の兄が会葬の挨拶をすると、真吉の棺に釘が打たれて豪華な霊きゅう車に乗せられる。
山の中の閑散とした火葬場に到着した親族は真吉の入った棺を見送り、涙を流す者も多くいた。手を合わせて拝んだり、線香に焼香したりしつつ火葬が始まる音を聞く。
火葬(ラスト結末)
屋外から火葬中に立ち上る煙を見やる親族たち。出た千鶴子は佗介に話しかけ、挨拶もきっとうまくいくと励ます。佗介は桜を眺めながら死ぬ時は春が良いとこぼすのだった。再び中に戻って親族が火葬の様子を確認していると、職員は「ガスを付ける瞬間が一番怖い」と話す。
もしかしたら生き返るのではないかと考えてしまい、夢に見るほどだというのだ。健康だった人ほど良く焼けたり、赤ん坊は強い火で焼くと何も残らなかったり・・・火葬について知見を得て最後の挨拶が始まる。
佗介が挨拶をする予定だったが、喪主の挨拶として真吉の妻が名乗り出た。彼女はみんなの協力があって立派な葬式ができたことに感謝し、心残りがあったと語る。真吉の手を握って看取りたかったと細々と言いつつ、真吉が仏になって戻ってくれたような気がすると言うのだ。そうして葬式が終わり、佗介や千鶴子たちは片づけを始めるのだった。
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「お葬式」の感想
伊丹十三の最初の監督作品として、どういった映画なのかと思って見入りましたね。映画のタイトル通りの葬式の様子や段取りが語られる内容であり、時にコミカルな演出が散りばめられています。
故人と親族というテーマであることから悲しんだり、涙を流したりする人たちが多く映し出される中、重さを感じすぎないように思わず笑ってしまうシーンを挟んでいたのだろうと考えました。
耳が遠くて何度も聞き返す高齢の人や、地元の葬式のやり方に固執している人などの演出がコミカルだったのが良かったですね。一方で、棺に入った真吉の遺体にメガネを掛けてあげる優しさはお葬式にありそうな演出だと感じました。
1984年に製作された映画なので、当時のお布施や病院でかかる費用なども「なるほど」と思わされます。坊さんへのお布施が20万、病院で死亡届をもらう時には3万と費用がかかり、親族は手持ちを確認していくのです。
急逝した故人と慌てて集まった親族のドタバタ感や佗介が滞りなく葬式を行えるように入門ビデオを見続ける様などがとてもリアルに描かれていたと思います。
途中の葬式の会場準備の様子をカメラマンがホームビデオのように撮影していくのもこれまでと違う演出で緩急のある撮影の手法だと言えますね。厳格なテーマを扱いつつも、そうしたシーン見せ方に工夫を感じる作品でした。
「お葬式」のみんなのレビュー(面白い?つまらない?)
面白いと・神作品いうレビュー
小学生の頃、祖母が亡くなってすぐに家族で『お葬式』を見て、葬式あるあるに爆笑したのが伊丹作品の原体験で。映画といえば洋画だった時代に、こんなに面白い邦画があるんだと強烈な印象がありました。
奥様を主演に作品を撮り続けていたのもひとつの美学だなあと思います。— keiko (@keiko85956024) July 11, 2021
伊丹十三の「お葬式」を30年ぶりぐらいに観る。
こんなにクオリティー高かかったっけ?
細かい演出がとても凄いのに、ストーリーはスムーズに進行、最後のシーンを最高のものにして全てを収束させてしまう。この世界観は歳とらないとわからんかもしれない。
そして、カメラワークも面白い。— KINOSHITA Fumichika (@kinofumi) May 15, 2021
久しぶりに伊丹十三のお葬式観てるけど開始3分でもうめちゃくちゃ面白い。なんにもないシーンがほんとに面白い。なんにもないシーンが面白いって大事よねぇ…。
— 陸奥瑛子 (@mairo622) September 26, 2020
伊丹十三監督『お葬式』鑑賞。
いやァ面白い。
愛人役の高瀬春奈さんの妖しさといったら…あのオヤジメガネと脇毛とむっちりした体で異様な色気が出てる。あとは老人役藤原釜足さんが素晴らしい。
— 芋タロス (@potatodopant) July 23, 2020
つまらない・駄作というレビュー
伊丹十三の「お葬式」、5年以上前に見たとき、つまらなすぎて半分で観るのやめたが、あらためて今日最後まで観た。やっぱりほんとにつまらない映画だった。
— CDプレイヤー (@soba_takoyaki) November 4, 2019
両方とも大して面白くないよね。特につまらないのが『お葬式』。Twitter始めたら伊丹ファン多くて今まで言いずらかった。↓RT
— maggot brain (@yossan050) June 16, 2019
「お葬式」のロケ地(ブランコと立ちバックのシーンは伊丹十三監督の別荘?)
お葬式のロケ地は、神奈川県湯河原町にある伊丹の別荘(元自宅)で行われました。
ブランコと立ちバックのカットバックのシーンで有名にもなっていますね。
「お葬式」の登場人物(俳優名)
井上佗介(山崎努)
俳優を務める男性。息子と妻がいる。義理の父が亡くなる。
雨宮千鶴子(宮本信子)
女優を務める佗介の妻。父が亡くなる。
雨宮真吉(奥村公延)
千鶴子の父であり急逝する。妻がいる。
青木(津村隆)
葬式を手伝いに来た佗介の仕事仲間。
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