1990年に公開された『あげまん』は伊丹十三監督による映画です。芸者として育った主人公の女性は付き合った男性を出世させたりする”あげまん”と呼ばれていました。彼女は様々な男性と付き合う中で色々な人間ドラマを繰り広げるのです。それでは『あげまん』のあらすじと結末に感想を交えて紹介しましょう。
「あげまん」のラストの結末やネタバレあらすじ
ナヨコとお坊さん
捨て子だったナヨコは彼女を見つけた保護者の元で育ち、大きくなって芸者になろうと決意。住み込みで芸者のことを学んでいき、半玉になって18歳となった際にお坊さんが妻にしたいと申し出る。
62歳のお坊さんはナヨコと身体の関係を持つようになってから位が上がるようになった。一方、ナヨコは短大に通って勉学に励み、夜は坊さんの相手をする。
3年が経ったある日、坊さんが亡くなってしまう。親族はナヨコと付き合い始めてから坊さんが出世したと言って「あげまんなんだから自信を持って」と言うのだった。
それから10年が経過しナヨコは勤めていた銀行に出勤する途中で痴漢に遭う。男を問い詰めようとしたが取り逃がし、寿という男性が「彼はボタンに絡んだ衣服を外そうとしていただけだ」と声を掛けた。ナヨコは寿の名刺をもらいつつ銀行に急ぐ。
鈴木と大倉
ナヨコは銀行の頭取が打ち合わせをするための応対をする中、痴漢疑惑をかけた男が現れて驚く。男は鈴木といい、銀行の支店長だった。彼は頭取から紹介されたお偉いさんの娘・映子と関係を保とうと努めていたが、事業がギクシャクし始めたことで彼女との仲も終わってしまう。
その頃、ナヨコは寿の紹介でお見合い用のプランを検討し、大倉という人物と会うことになる。大倉は日本の政治を陰で動かしており、ナヨコと会う日も総理候補となる政治家と話をしていた。すると彼は急に苦しみだし、ナヨコは手当てをしたことで気に入られるのだった。
その後、ナヨコは頭取の元に再度訪れた鈴木と会話を重ねるうちに大倉とのお見合いを考え始める。彼女は鈴木と共に大倉に会いに行ってお見合いを断ると、大倉は大金を用意して鈴木に諦めるよう言うのだ。すると鈴木は「ナヨコの運が欲しいのではなく、彼女自身が欲しい」と言って大倉を説得した。
裏切り
ナヨコと付き合い始めた鈴木はさらに立地の良い店の支店長となり、頭取から利益を倍にするようにと命を受けた。鈴木は利益拡大のため努力を重ね、ナヨコはそんな彼を支えて一年が経つ。
ついに鈴木は取締役の座を手に入れるかと思われたが、頭取から再び映子との仲を取り戻せと言われるのだった。鈴木は縁談を進めることにして、映子と関係を持って帰宅・・・ナヨコは彼のスーツの香水の香りから察し、家を出て大倉の元へ。
大倉は傷付いた彼女を慰めつつ迎え入れ、銀行を辞めて芸者を始めるのだった。彼女が順調に芸者業を進める中、大倉は鶴丸に総理の座を用意しようと企てる。総理は鶴丸に席を用意する代わりに10億円を用意するよう言い、大倉は密かに手を回すのだった。
ウソ(ラスト結末)
頭取は大倉に脅されて10億円の融資を用意して鶴丸に次期総理の座の準備を済ませる。ナヨコは芸者の店に遊びに来た鈴木や、犬養という政治家と話をしつつ2人に誘われるのだった。そんな折、犬養は身内の医師から鶴丸がガンだという情報を得る。
当人にも知らされない中、犬養はその情報を大倉に教える代わりにナヨコを自身に売るよう言うのだ。大倉は仕方なく了承し、ナヨコにウソをついてホテルに弁当を届けさせる。受け取った犬養は部屋に彼女を招き入れて関係を強要したのだった。
ナヨコは鶴丸のガンのことを知らされて一方的に金を持たされて部屋を追い出されてしまう。そうして帰宅した彼女は大倉を責め立てるが、彼は具合を悪くして亡くなってしまうのだった。
大倉は最期に総理の念書をナヨコに渡し、彼女はそれを持って鶴丸の元へ。銀行が10億の貸し倒れを防いだことで、鈴木と再び仲を取り戻すキッカケとなるのだった。
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「あげまん」の感想(元ネタは宮本信子の小唄の師匠!?)
ナヨコが側にいるだけで男性たちが順調な人生を歩む様子が見どころとなる作品でした。
ナヨコと男性たちの関係が代わる代わる展開し、あげまんとしての力量を垣間見た作品でしたね。最初はお坊さん、次に銀行の支店長の鈴木そして大倉と、次々に昇進や出世やお金儲けが順調になるため目を見張ります。
一方で、ナヨコを大切にすると誓った鈴木や大倉が私利私欲のために彼女を裏切ってしまうのには心が痛みましたね。大倉は成功を収めたいが故に犬飼にナヨコを売るようなマネをしてしまいます。
その罪悪感もあってか大倉は具合を悪くして「罰が当たった」と後悔する様は切なさも感じました。ナヨコ自身も便利な女であると扱われたことに怒りを露わにしていましたが、弱った大倉を見て優しく接する・・・裏切やウソに対して一度は怒りを覚えても相手を大切にするという姿勢はなかなかできることでは無いため感心させられます、
また、鈴木は取締役になるために映子と付き合うことにしたり、ナヨコ以外にも3人の女性と関係を持ったりしていました。家ではナヨコに気遣われて幸せそうにしていたのもあり、映画の最後で再び仲を取り戻すという展開は良かったのかもしれませんね。
今度こそナヨコには幸せになって欲しいと思う一方で、また男性を翻弄してしまうのではとも考えてしまう作品でした。
ちなみに、本作はは宮本信子の小唄の師匠である芸者さんのエピソードを伊丹監督が聞き映画化した作品のようです。偉人でもない人のエピソードをふくらませてここまで面白い作品にできるのは本当に才能あると思いました!
「あげまん」のみんなのレビュー(面白い?つまらない?)
面白いというレビュー
伊丹さん映画を観たくて、まとめて借りてきた。まず1本目は『あげまん』。今の時代なら完全にパワハラ・セクハラだなぁとか、こんな場所でもタバコ吸えたなぁとか比較してしまうが、改めて窮屈な時代になったぁと…(笑)伊丹さんのどの作品も、そんなモラルを飛び越えた『痛快さ』が面白いですよね。 pic.twitter.com/8skOoMwd5F
— ジーレイちゃん(非公認) (@2065years) February 16, 2020
伊丹十三監督『あげまん』は宮本信子が魅力的な一本。良い女優さんだなあ。素敵な女性に限ってダメダメな男に惹かれるのは映画あるあるでもどかしいけど、せっかく2人で面白かったのに、もっと面白いことできたのに、ってセリフが印象的だった。なよこはいつも面白く生きる力があったんだなあ。 pic.twitter.com/G1We5DdJF1
— Nanao (@NanaoKuroda) January 29, 2021
『あげまん』
男にツキをもたらす女のこと『あげ』はあげさげのあげ
『まん』は古い言葉で運上昇運を意味する。
30年近く前の映画なのに
いま見てもなぜか面白い。ナヨコと主水
二人の恋路は滑稽だけど人間味があっていい。色恋の道は
一筋縄じゃいかないし
そんな綺麗ごとばかりでもない。— デベちゃん (@Portcoton823) January 19, 2019
伊丹十三監督「あげまん」を観た。
大滝秀治さんを偲んで。オモロイ。脚本が面白い。
全員が、全力で映画を創ってるのが伝わってくる。
大滝さんはやはり素晴らしい。— 伊藤慶徳 Keitoku Ito (@itoukeitoku) November 3, 2012
つまらないというレビュー
映画「あげまん」放送終了。驚くほどつまらなかったなー。
宮本信子は、板倉亮子(「マルサの女」)が、やっぱりいいなー。
最高だもの。
あげまんは、監督が、ただ、芸者のかっこうさせてあげたかっただけのような映画。— nyan (@nyandaa_) February 4, 2017
@eri7yo 伊丹は単なるお飾りだよ。それが証拠に、黒澤が抜けた後は伊丹映画は駄作ばかり。マルサ2とか、あげまんとか
— レット (@letitbleed22) October 8, 2012
「あげまん」の登場人物(俳優名)
ナヨコ(宮本信子)
芸者を目指し、後に銀行で働く女性。
鈴木主水(津川雅彦)
銀行の支店長。恋人が複数いる。
瑛子(MITSUKO)
鈴木の恋人。
大倉善武(島田正吾)
政治を裏で操る高齢の男性。
鶴丸(北村和夫)
次期総理の座を狙う男性。
犬飼(宝田明)
総理の座とナヨコを狙う男性。
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